銃口は、こちらへ向けられた

とても、か細く弱々しい声を、発した。
そんな言葉を口にするとは、思ってもみなかったな。
前々から、言いたかった事だったのかもしれない。
ずっと心に、ため込んでいたのかもしれない。
言い出せない空気を作っていたのは、多分、アタシ自身だ。
しきりに、「申し訳ない」と、言っていたけれど、
謝らなければ、ならないのは、
寧ろ、こっちの方。
震えた声。
泣いているの?
何だか怖くって、俯いたままでいた。
顔をあげる事が、出来なかった。
「ゆっくりと、考えてみて。」
投げかけられた。
委ねられた。
うん。
考えてみるよ。
そう、思ったけど、
考えても、考えても、堂々巡り。
現状を打ち破る事は、アタシには無理だと思うよ。
やりたくない事だって、避けては、通れないし。
いつだって、本当は、何もしたくない。
好きな事だけ、やりながら生きている人なんて、
ほんの一握り。
全部、諦めた。
希望なんて、そんなもんは、とっくに捨てたよ。
だからねぇ、
刃をこちらへ向けても、全然、構わないんだよ。