薄く色づく

今思い返しても、素敵な空間だった。
深い深い、蒼の世界だった。
ひんやりと冷たくて、暖かい温もりだった。
奪われる、邪悪な気持ち。奪われる、体温。
一歩そこから抜け出したら、周りの全ての風景が、真っ黒だった。
汚い風景だった。澱んでいた。幻を見た。
その真っ黒さは、自分自身だった。
何もかも、飽きてしまったんだ。
あたしの欲望って、何だったっけ?
ひらひら揺れる、一片の花びらが、やけに、色鮮やかで、
世界が今、この瞬間、終わればいいと、本気でそう思った。
そんな時は、君と一緒がいいな。なんてね。
大丈夫、本気で、そんな事、思ってないから。
何もかも、本気になんてなれない。
終わりだけを、静かに待っている。今こうして、待っているんだ。


  わかりあえやしないってことだけをわかりあうのさ

 
  本当のことが知りたくて嘘っぱちのなか旅に出る



一人で退屈していた私。
「今日も、休んだ??」
えっ。確かに今日も、って言われたんだ。
ん?何で知ってるの?どうしてだろう。
まあまあ、いいや。だって、それ、事実だよ。
君を詮索する事は、無意味ですね。
何もしたくないの。何も考えたくないの。
首筋触りながら、不適な笑みを浮かべてた。
「若いね。。。」
そう言って、笑ってた。
つられて、こっちも、笑っちゃった。
言いたい事は、だいたい分かる。
何だか、異常に距離が近くて、照れくさかった。
凛とした強さが欲しいです。