胸に、一筋の引っかかり

キスしてくれたら許してあげる
出会いってもんは、本当に突然で、
何の、前触れもなくって、
向こうから、やって来たり、こちらが、近付いたり。
そうやって人と、人とは、繋がっていくんだよね。

何か言いたいの?
言いたいんでしょ?
不機嫌そうな顔も、魅力的だね。
なんて、言ったら怒るかな?
どうしたの?
こっちは、心全開にしてんのにさ、
何を弁えてんだか、知らないけど、
一歩も、踏み込んでない所から、見られてる感じがやだっっ。
私にそんな事を、言ってきた。
えっ?
一瞬、間があって、
私が、ゲラゲラ笑い出したら、
そうやって、
嘘っぽーく、嘘っぽーく、笑う少女は、嫌いでも好きでもないね、、、
そんな乾いた笑いの、あなたは、透明少女。
えー、そんな透明少女が好きであります。
なんて、真顔のまま、向井秀徳口調で言うからさ。
ますます、おかしくなって、私、ゲラゲラ笑う。
照れ隠しの笑い。
今日は、本当にどうしたっていうの?
何かが、おかしくって、何かが、いつもと違う。
聞きたい事は、沢山あったんだけど、
今日は何も聞かない事にした。
そういうのが、彼の言う「弁え」とか、なんだろう。
まぁ、いいや。
昼ご飯の材料を買いに、外に出かける。
ナンバーガールを口ずさみながら、歩く。
車のボンネットの上で、二匹の野良猫がじゃれている。
彼が、遠くから、愛おしい目で見ていて、
猫の元へ駆け寄る。
そんな彼の姿が、すごく微笑ましかった。
近くで、蒲公英が咲いていた。
優しくて、あったかい気持ちになれた。
こんな、優しい気持ちで、いつもいられたらいいのにな。
穏やかな気持ちで、いたいのです。
猫を撫でながら、
「可愛いねー。」って、彼が私を、うるうるした目で見上げるから、
「三匹目の猫も、負けずに可愛いいよー。」って、
私、彼の頭をくしゃくしゃに撫でる。
満面の笑みで、「にゃー」って、ほっぺた、引っかかれた。
胸を、抉り取られた感じがした。
可愛すぎて、死にたくなった。
死にたい理由は、いつだって、沢山。
生きる理由は、、、
あんまりないなぁ。
大宮まで、送ってもらい、そっから一人で熊谷へ向かった。
やっぱり雨。
だいたいART-SCHOOLのライブの日は、雨だな。