現代。冷凍都市に住むワタシ。

オレンジ電車に揺られながら、山梨へ向かう。
神主になっているとばかり思っていたあの人は、
自然と共にのんびりのんびり暮らしていたよ。
設計から建築までを全てたった一人でこなしたという、
たいそう素敵なお家に住んでいた。
さすがだな。この人の感覚的能力は。本当に手先が器用だ。羨ましい。
「こんな素敵なおうちに、一人なんてもったいないね。」なんて言ったら、
「一緒に住むか?いつでもおいで。」だって。
冗談に聞こえないところが私を困らせる。
久々に大人の人と言葉を交わした気がする。
ゆとりのある落ち着いた話し方。
こっちまで穏やかな気持ちになるよ。
丁寧に臼で豆をひいて、入れてくれたコーヒー。
コーヒーの香りが、こんなにも人の心を裸にするなんて知らなかった。
昔はこの匂いが大嫌いだったけど、
今はこの匂いが快いから、なんか不思議だな。
鼻先をくすぐるその匂いが過去の記憶と結びつく。
コーヒーが入っている器、何か見たことあるなって思っていたら、
そうだ。そうだ。底を見て思い出した。
自分の名が刻まれていた。
これ私が授業で作った器だよね。
今でもここで使われてるなんて、嬉しいような、恥ずかしいような気持ち。
顔が紅潮していくのがよくわかった。
大事にされてた事、有り難く思う。
思い出したように、
「そうか、もうお酒飲める年になったんだな。」としみじみ頷いてた。
あん時だって、教育的立場にあるという事忘れて、一緒に飲みましたよね?
って言いたかったが、頷きながら、あまりにも感慨深い表情してたから、
その言葉たちは、自分の心に留めておきました。
お兄さんに、いろいろ状況は聞いているようだった。
でも以前より、ふっくらした私を見て、「大丈夫そうだね。」
って一言、柔らかく言っただけだった。
そうそう、全然、大丈夫だよ。
普通。普通。
誰だって心に狂気は持っているはずだもん。
今はやりの病気に冒されてるだけの事。
10人に1人は、このはやり病いにかかっているそうです。
病気はどんどん進行
病気はどんどん進行
NUMBER GIRLの『はいから狂い』が頭を流れた。
僕は死ぬように生きていたくはない
中村一義の『キャノンボール』が頭を流れた。
いろんな事があった一日でした。